先日、ある学会で石田純一さんの特別講演を聴いてきた。石田さんは今年で60歳とのことだが、肌つやはピカイチだった。大還暦の120歳まで生きるのが目標だそうだ。テレビのキャラクターしか知らない私は、失礼だが、あまり有意義な話を期待していなかった。しかし、講演を聴いてみると、学ぶべき点がたくさんあった。一つは、食べ物についてだ。「汝とは、汝の食べた物そのものである」つまり、自分が食べた物が、自分の体をつくっている、ということを石田さんは何度も訴えられた。私はギクッとした。私は忙しいのを理由に、ファーストフードとコンビニ弁当で大半構成されているのだ。想像すると気持ちが悪くなった。当院の外来には、イライラするとか乾燥肌がひどいといった訴えをする患者さんも来られるが、食生活のバランスが崩れていることが原因の一つにある。ビタミンが少なくなれば神経症や不眠といった症状がでるし、鉄分が不足すれば肌が荒れる。病気となり受診された患者さんには栄養バランスの説明をしているのだが、自分のこととして振り返ったことはなかった。あらためて自分に焦点を当ててみると、食生活の乱れで気分や体調がアップダウンしていることに気が付く。きっと、みなさんも同じ事がいえるのではないだろうか。石田さんはこうもおっしゃった。「いい食物は高い。でも安いという理由で食べ物を選んでいると、いずれ体調が崩れ医療費がかかるようになる。たとえば30年後に同じお金を使ったとするなら、元気な体が残っていた方がいいじゃないか」 おっしゃる通りだ。日本は平均寿命が長い。しかし健康寿命は男性で平均寿命からマイナス9年、女性ではマイナス12年の開きがある。食生活を見直し、健康寿命を延ばし、石田さんだけではなく、みんなが元気に大還暦を迎えられることを私は願っている。
2014年6月20日 日本海新聞掲載